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「なんで今、恋愛が“ダサい”と言われるの?」


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「彼氏がいるのはダサい」ミームを

政治・経済・社会・時代精神・次元論から多角的に読み解く



第1章 何が起きているのか

― 2025年秋〜冬に爆発した“彼氏ダサい”ディスコース


発火点は British Vogue(2025年10月)。


Chanté Joseph が提示したのは:


  • 恋人アピールはもはや“イケてない”

  • 破局リスク=SNS公開処刑

  • 恋愛より「自分ブランド」優先の時代

  • シングルでいる方が“フレックス=自慢”になる


この論調をTikTokが一気にミーム化し、

The Tab、Hindustan Times、El País、Aftenposten など各国メディアが連鎖反応。


さらに Lily Allen winter(別れて冬を迎えるムーブ) が火に油を注ぎ、

「彼氏持ち=恥ずかしい」「今彼氏いるとか逆にダサくない?」

という“空気”にまで昇華しました。



第2章 土台にあるのは「若者の交際・恋愛の衰退」


すでにここ数年、アメリカ・イギリス・カナダで共通して:


  • steady partner 不在率 54%(18〜34歳)

  • 約半数がティーン時代の恋愛経験なし

  • シングルでデート意欲ゼロ 37%(30歳未満)


という“交際離れ”が起きています。


ポイント

恋愛が落ちていたところに、

ミームが一撃で“文化の名前”を与えた。

つまり、ミームは“原因”ではなく“象徴化”。



第3章 経済:恋愛は「コストの高い贅沢」になった


Newsweek や Bank of America のデータが示す現実:


  • 住宅・学費・生活費が史上最高水準

  • 恋愛に月0ドルがGen Zの約半数

  • 46%が「愛より経済安定を優先」


この状況で

「恋人に時間・金・精神力を使う」のは合理的か?

と若者が自問すれば、答えは“No”になりがち。


結果:

  • 恋愛コミット=高コスト・高リスク

  • シングル=合理的でクールな選択


この“クールの再定義”がミームの背景にあります。



第4章 政治:ジェンダー戦争と#MeToo後の不信


Gen Z の特徴:


  • 女性=リベラル強め

  • 男性=保守化傾向

  • 28%が「政治的に違うならデートしない」


つまり 恋愛は政治地雷原。


さらに #MeToo 以降、


  • 「男性側:地雷踏んだら人生終了」

  • 「女性側:搾取されたくない」


という相互不信が強まり、

交際=面倒くさい・危険・重い

という評価につながります。


Vogue が言う

「ヘテロ恋愛そのものが政治化されている」

という視点もここに重なります。



第5章 社会・テクノロジー:SNSが“誠実さ”をダサくした


Wired・VICE・New York Post が繰り返し報じている

Gen Z最大のタブー=cringe(イタい) の文化。


  • 本気の恋愛宣言

  • 長文の愛のメッセージ

  • カップルアピール


これらが “社会的死” 扱い。


つまり若者の中では

恋愛そのものではなく、

恋愛アピールが最もダサい。


SNS自体が“自分ブランド”の場となり、

カップル投稿は:


  • ブランド価値を落とす

  • 別れたら黒歴史化

  • ネットに物語を乗っ取られる


ため、

“プライバシーの保護”ではなく“ブランド戦略”として非公開が主流。



第6章 心理・メンタルヘルス:回避と防衛の時代


Gen Zはメンタル不調率が歴代最高。


  • 不安障害

  • うつ

  • 自己肯定感の低さ

  • SNS比較地獄


そんな中、恋愛は:


  • 期待→失望

  • 依存→不安

  • 嫉妬→苦痛


という最も精神コストが高い行為。


Hinge調査では:


  • 90%:愛は欲しい

  • 50%以上:「告白できなかった(怖いから)」


ここから生まれるのが、


●“恋愛したいけど怖い”という矛盾

●その矛盾を正当化するための「恋愛ディスり」文化

●そして“彼氏がいる=ダサい”という一種の防衛ミーム



第7章 フェミニズム・ポップカルチャー:

“シングル女性”の復権と物語の逆転


El País の指摘:

“かつて恥だったシングルが、むしろ誇りとなる”


  • 男に入れ込みすぎて傷つく物語

  • DV・浮気・モラハラを暴く楽曲

  • Lily Allen の裏切りテーマの再評価

  • シスターフッドの連帯


これらが作るのは:

「男に振り回される女は古い・弱い・ダサい」

「自立したシングルは賢い・強い・クール」

という新しい価値観。


この価値観の延長線上に

「彼氏いるの、今どきダサくない?」

がミームとして成立する。



第8章 この現象は“軽いノリ”ではなく“時代精神”

構造をさらに統合すると:


● 経済

→ 恋愛は高コスト化


● 政治

→ ジェンダー不信・価値観分断


● 社会

→ 交際率低下・シングル化


● テック

→ SNSで誠実さはcringe


● 文化

→ シングル女性の再評価


● 心理

→ 傷つきたくない・拒絶が怖い


● メディア

→ Vogue の挑発がミームとして爆発


これらが重なり、

「交際している」というラベルが

“ステータス”→“リスク/ダサさ”に反転した。


これは単なる娯楽的ミームではなく、

不安定な時代の若者の“自己防衛ミーム” と言える。



第9章 “意識が次元上昇している証拠”


この恋愛観の変化は「意識の進化」の現れと考えられます。


次元にはこんな特徴があります:


  • 3次元:過去の経験ベース、固定的、人間関係もラベル化しやすい

  • 3.5次元:未来の可能性が広がる、自分の選択で生きる

  • 4.5次元:いくつもの未来が同時に存在し、選択が自由になる


Z世代はこの 3次元 → 3.5〜4.5次元 への移行が進んでいる傾向があると考えられます。



“恋人という固定枠”が古く感じられる理由


Z世代が「交際=ダサい/重い」と感じるのは、


➤ 恋人というラベルが“固定化”だから

➤ 固定は3次元モデルだから

➤ Z世代の意識は未来型(3.5〜4.5次元)だから


です。


次元的に見ると、


  • 3次元の恋愛: 「彼氏・彼女」=関係の証明、独占、固定化

  • 3.5次元以降の恋愛: もっと自由で自然な関係性、未来の可能性を狭めないつながり


つまり、意識が進んだ世代ほど

「関係に名前をつけて固定すること」に違和感を持つ のは自然です。



曖昧な関係 “シチュエーションシップ” の正体


「付き合ってないけど仲がいい」

「恋人未満だけど特別」

こうした“曖昧な関係”が増えているのも特徴です。


4.5次元では、

複数の選択肢・未来が同時に存在できる 世界観が展開します。


Z世代が「1つに決めたくない」と感じたり、

「自由でいたい」と思うのは、

無意識にこの状態を反映していると考えられます。



Z世代の恋愛観は“後退”ではなく“進化”


Z世代は「恋愛が嫌い」になったのではありません。


むしろ、


✔ 自己実現が大事

✔ 関係性を自由に保ちたい

✔ 固定化・所有化を避けたい

✔ 誰かに合わせて生きたくない


という、高次の意識(3.5〜4.5次元) に近づいているのです。

これは意識進化のごく自然なプロセス。


Z世代は、人間関係を

「過去型の恋愛」ではなく

「未来型の自由なつながり」

へアップデートしているのです。



第10章 結論

「彼氏がいるのはダサい」は恋愛否定ではない

→ “今の時代に無防備にコミットするのは愚か”という価値観の表現


  • 経済は不安定

  • 政治は分断

  • SNSは炎上とcringe地獄

  • 恋愛はコスト高&傷つく可能性大

  • 自己ブランド重視時代

  • メンタル疲弊による“防衛的シングル”の増加


この環境で、

「今の時代に恋人に全力投資してるの、ちょっと危険じゃない?」

「むしろシングルの方が賢く見える」

という空気がミーム化したもの。


彼氏=ダサい


は“恋愛を否定している”のではなく、

恋愛を“賢くないリスク投資”として扱う時代精神の象徴です。

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